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Medical Treatmentその他の治療の案内

在宅⾎液透析

在宅血液透析とは、医師の管理のもと、患者さんご自身が自宅で血液透析を行う治療法です。
自宅に透析を行うための機器を設置して、患者さん自身が回路組立・穿刺・透析中の状態管理・返血等のすべての手技を行い、血液透析を行います。
そのため、在宅血液透析を希望される患者さんは、一定期間のトレーニングを受ける必要があります。

通院血液透析では、週に3回、1回の治療時間は4~5時間で行われています。
来院時間も施設で決められており、透析に合わせて生活スタイルを構築していくしかありません。
在宅血液透析では、自分の生活スタイルに合わせて透析する時間を決めることができます。
また連日や隔日の透析も可能で、1ヵ月当たりの透析日数を増やすことができます。1回当たりの透析時間も長時間行うことが可能です。
このような点から在宅血液透析は、十分な透析を行うことができ、食事制限の軽減や体調の変動を少なくすることができ、予後の改善が期待できます。

在宅血液透析の適応基準

  1. 在宅血液透析の実施に支障となるような合併症がなく、安定した施設透析が行われていること
  2. 本人の強い希望があること
  3. 患者さん本人の自己管理能力があること
  4. 医療者と患者さん各々に治療に対する責任があることを理解していること
  5. 介助者が同意していること
  6. 教育訓練を受けることができること
  7. 安定したバスキュラーアクセスが確保されていること
  8. 在宅血液透析を施行できる治療環境が確保されていること

在宅血液透析による頻回透析・長時間透析のメリット・デメリットは以下のようになります。

当クリニックでは、在宅⾎液透析を希望される患者さんのため、医師、看護師、臨床⼯学技⼠が対応できるよう体制を整えました。
以下の手順で在宅血液透析開始に向け進めていきます。

①在宅血液透析を導入できるスペース、衛生面の確認をメーカーと訪問し確認します。
自宅工事が必要な場合、見積もりします。

②患者さんと面談し、状態を確認する。
さらに一定期間通院透析をしてもらい、透析中の状態を確認させていただきます。

③透析をしていく上で必要な知識と技術を勉強していただきます。

④在宅血液透析開始までの期間を逆算し、装置設置に向けての工事を行います。

⑤クリニックの個室で患者さん、介助者の方のみで、透析治療をしていただきます。

⑥在宅血液透析開始。
最初の一定期間はスタッフが訪問し、様子を伺います。

在宅⾎液透析開始後は、当院の外来受診が必要で、⽉に1~2回来ていただく必要があります。
また、定期的に機器メーカーとスタッフが交互に自宅訪問し、装置のメンテナンス等を⾏います。

在宅血液透析開始後の維持と管理について

定期受診

  • 月1〜2回クリニックで施設透析を行い、血液検査等実施
  • 栄養状態の見直し
  • 透析条件の見直し
  • ESA製剤の投与量変更・内服薬処方の調整

定期訪問

  • 看護師、臨床工学技士
  • 導入週は毎回訪問。以後は月に1〜2回
  • 手技の確認や、不安、ストレスについて傾聴
  • 訪問時のチェックリストにより、訪問スタッフによるばらつきがないように工夫

保守点検

  • 臨床工学技士、メーカー担当者が訪問し、機器の動作確認やメンテナンス
  • 水質検査等実施

在宅⾎液透析に興味のある⽅は、お気軽にご相談ください。

LDLアフェレーシス治療

コレステロールは体内に存在している脂肪分の一つです。脂肪は有害な物質であるかのようにいわれることがありますが、本来は欠かすことのできない大切な物質です。
体内のコレステロールの量は一定の状態を保とうとする機能(恒常性)によって常に安定していますが、何らかの原因によって血液中のコレステロールの量が増加すると動脈硬化が起こり、心臓疾患、下肢潰瘍などの様々な病気の原因となります。

特に重要なのはHDLコレステロール(高比重リポたんぱく質)とLDLコレステロール(低比重リポたんぱく質)ですが、LDLコレステロールは増えすぎると動脈硬化の原因となります。このためLDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれ、反対にLDLコレステロールを回収する働きのあるHDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれ、特にLDLコレステロールが高値の場合は治療が必要となります。

治療⽅法

高コレステロール血症の治療法としては⾷事・運動療法に加え薬物療法による治療となります。それでも改善の難しい患者さんにはLDLアフェレーシスなど、血液中のLDLコレステロールを直接除去する治療法を実施により、コレステロール値を低く抑える治療が選択されます。
LDLアフェレーシス治療では、動脈硬化の原因となるLDLコレステロールを⾎液中から取り除き、血液と⾎管の状態をよくすることで全身の⾎液の流れを改善することが⽬的です。
この治療では血液を体外に循環させ、専⽤の器械を用いてLDLコレステロールなどを取り除き、その浄化された⾎液を体に戻します。
治療期間は疾患の状態により異なりますが、月に数回程度から週に1回程度のペースで治療を行います。

効果と副作⽤

効果

  • LDL(悪⽟)コレステロールや中性脂肪の除去
  • プラークによる血管閉塞や狭窄の改善及び予防
  • ⾎管内⽪機能の向上
  • 全身の末梢循環改善

副作用

  • 血圧低下、嘔気、嘔吐、頭痛、胸痛、腹痛、貧血、しびれ、熱感など

添付文書では上記副作用が報告されていますが発生頻度は低く、安全性の高い治療です。

受診方法

受診をご希望の方は、電話でご予約し、かかりつけ医にご相談いただき、紹介状を持参の上、ご受診いただくようお願いいたします。

※患者さんの状態やデータを拝見し、DFPP(二重濾過血漿交換療法)の治療をさせていただく場合もございます。

GCAP/GMA

潰瘍性⼤腸炎は、⼤腸の粘膜に炎症が起こってびらん(ただれ)や潰瘍ができる病気です。
原因は不明ですが、白血球(リンパ球、単球、顆粒球)から炎症に関わる様々な物質が放出されていることが分かっています。
この病気は、20歳前後の若年層や働き盛りの年代に多く発症します。顆粒球吸着療法(GCAP/GMA)は、この炎症に関わる顆粒球を取り除くことで、炎症を鎮め症状を改善する治療法です。
この治療法は、⾎便や発熱が頻回に⾒られる⽅や、ステロイド剤が効きにくい「難治性」の患者さんに保険適⽤されています。
症状を和らげるための治療であり、また症状が落ち着いている状態を維持する目的で治療することが可能です。

京都駅前武⽥透析クリニックでは、⾎液透析を中⼼とする⾎液浄化療法で培った経験を⽣かし、医師・看護師・臨床工学技士のスペシャリストがチーム医療で顆粒球吸着療法(GCAP/GMA)を施⾏しています。

治療⽅法

肘の静脈に針を刺し、カラム(顆粒球吸着器)に⾎液を通す治療⽅法です。カラムで浄化された⾎液は、再び静脈に戻されます。この⽅法により、炎症に関わる⼀部の白血球(リンパ球、単球、顆粒球)が吸着除去されます。なお、治療時には血液の凝固を防ぐお薬を使用します。

治療は、1回につき約1時間かかり、1.8Lの⾎液を処理します。治療中にトイレに⾏くこともできます。
治療の⼀時中断も、スタッフに声をかけることで容易に⾏えます。局所⿇酔⽤のテープを貼ることで、静脈に針を刺す際の痛みは軽減されます。

治療は、週1~2回で最大10回(劇症の場合は11回)まで行うことができます。
症状が落ち着いている状態を維持する目的では、2~4週に1回の頻度で48週までの繰り返しとなります。
外来の通院で受けることができます。(医師の判断で治療のスケジュールは変更になることがあります。)
⾎液中の顆粒球は、体内(主に⾻髄)で再びつくられるため、治療中⼀時的に数が少なくなっても、治療後は速やかに正常な数まで戻ります。

効果と副作⽤

治療効果については、潰瘍性⼤腸炎の主な症状である「⾎便」「腹痛」などの改善や、内視鏡所⾒である「潰瘍」の改善などが⾒られます。
当院で⾏った患者さんの60〜80%で良好な効果がみられています。副作⽤は⽐較的少なく、まれに頭痛、腹痛、発熱がみられることがありますが、⼤部分は⼀時的なものなので、ご⼼配いただく必要はありません。

受診方法

受診をご希望の方は、電話でご予約し、かかりつけ医にご相談いただき、紹介状を持参の上、ご受診いただくようお願いいたします。

腹⽔濾過濃縮再静注法

※腹⽔濾過濃縮再注⼊は当院で透析をされている方が対象となります。
また消化器科からの紹介が必要になる場合もあります。

腹⽔(胸⽔)が異常に貯留される患者さんに関しては、通常は食事療法や薬物治療(利尿薬)を使って⽔分を体外に排出する治療をします。
しかし、肝硬変や癌などもあり、利尿薬が効かなくなることで、腹⽔が⼤量にたまることがあります。
そういった中で息苦しさの出現などにより、患者さんの⽣活の質(QOL)や⽇常⽣活動作(ADL)に影響を及ぼします。

このような場合に⾏われる治療法が、腹⽔濾過濃縮再静注法(CART)です。
難治性腹水症(又は胸水症)の患者さんが、保険適用になります。

CARTとは

CARTとは、腹水症(胸水症を含む)患者さんの腹水(又は胸水)を採取し、それを濾過、濃縮して、患者さんに再静注する治療法です。

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治療⽅法

  • 腹水採取
    ベッドに寝ている患者さんのお腹に針を刺し、専⽤の貯留バッグに腹⽔を貯めます。
    この際、モニターを⽤いて患者さんの⾎圧や状態に異常がないかを確認しながら⾏います。
  • 腹水ろ過濃縮処理
    貯留バックに貯められた腹水を二つのフィルターに通します。
    一次フィルター(腹水ろ過器)によって腹水から癌細胞や細菌を除去し、次に二次フィルター(腹水濃縮器)によって余分な水分を除去します。体によって必要なアルブミンやその他の蛋白を残します。
    この処理している間、患者さんは特に何もする必要はありません。
  • 再静注
    濃縮された体に必要なアルブミンなどの蛋白を含んだ腹水を点滴によって患者さんの体内に戻します。

腹⽔濾過濃縮再静注法は、従来の腹⽔排出の治療法に⽐べ、有⽤なタンパク質を回収し、過剰な⽔分を除去することができます。

効果と副作⽤

全⾝・栄養状態の改善により、QOL (Quality of Life)が向上します。腹圧が軽減し、⾃覚的苦痛が軽減されます。
CARTを⾏うことによる副作⽤としては、発熱、悪寒、頭痛、⾎圧上昇、⾎圧低下、等が報告されています。